信頼性と拡張性に優れたクラウドコンピューターサービスを提供し、企業の生産性向上に大きく寄与しているアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社(以下、AWS)。
最先端技術を駆使しテクノロジー面で大小様々な企業をサポートしている同社で、2018年、新たにカスタマーエンゲージメント(インサイドセールス)の部署が立ち上がりました。メンバーの9割が女性で、多くの方が家庭や育児といったプライベートを充実させつつ、無理なく仕事との両立を実現させていらっしゃいます。
カスタマーエンゲージメント部の小菅さんもその一人。子どもを育てながら働くことを一時は諦めそうになったと笑って話す、その表情は晴れやか。当時から今にかけての変化、そして現在の働き方についてお話をお伺いしました。
<プロフィール>
小菅 典子氏
・アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
カスタマーエンゲージメント部(見込顧客/新規案件発掘チーム)
新卒にて ITシステムの構築を請け負う会社にて営業・企画に携わり、その後通信会社、BPOベンダーにてインサイドセールスに従事。前職ではソフトウェアメーカーの営業としてリードジェネレーションに重点を置いた営業活動を行う。育児とのさらなる両立とインサイドセールスとしてのキャリアアップを目指し、女性活用推進中のAWS カスタマーエンゲージメント部の立ち上げメンバーとして入社。
前職で感じた「女性の働き方改革」の難しさ
2018年4月AWSに入社するまでは、結婚や出産など環境の変化に伴い、働きやすい環境を探しては転職をしていました。もちろんこれまで働いた会社に女性や働く女性たちへのサポートがなかったわけではありませんが、今後もずっと働いていくことには限界を感じていました。
出産直後に働いていた会社では、業務内容は今と同じインサイドセールスの部署で、業務量もそれほどの負荷はなく、子どもの体調が悪くなった時休みを取得しづらいなどということもありませんでした。ただ、業態がアウトソース(顧客の業務を請け負っている)会社だったため、情報管理の観点でパソコン・資料などの持ち出しは禁止でした。
つまり、会社に出社できない間は一切の業務が止まってしまうことを意味しており、当然私が出来ない分の業務は他社員の方に協力をお願いしたり、休み明けに仕事が溜まってしまうこともありました。子どもがいても誰にも迷惑をかけず、自分がすべきパフォーマンスが出せる、というのが私の理想だったので、もっと気兼ねなく働ける環境はないかと考えていました。
次の会社では、当初インサイドセールスとして入社をしましたが、社内の状況が変わったことから外勤営業に配属されました。営業は独身の頃に経験があったので業務自体に問題はなかったのですが、お客様とのアポイントメントの時間を子どもの体調などで急遽変更せざるを得なかったり、社内の関係部署のメンバーを集めたミーティングを予定していたのに中止せざるを得なかったりと、広い範囲の方々に迷惑をおかけすることがありました。
また、営業としての数字目標がある以上は成果を出す必要があるので、家へ持ち帰り仕事をしていました。「働く女性をどんどん営業として起用していきたい!」と女性の活用を推奨している風土のある会社でしたが、私にとっては両立が難しい状況になってしまいました。やはり子育てをしながら働く、仕事と家庭の両立ことの難しさを感じ、自分に問題があるのかなとさえ思いながら仕事をしていました。
当時の私にとって、「専業主婦になりたい」が口癖だった気がします。AWSに入社した今となっては笑って話せる過去となるぐらい、そんな口癖すら出ることもなく、楽しく仕事をしています。
「働くお母さんを応援したい!」社員の誠実さが決め手となった転職
AWSとの出会いは、たまたま登録した転職サイトです。サイトを通じて人事の方からご連絡を頂きました。早速人事の方とお話し、これまでの仕事のことや、育児と仕事の両立について悩みを伝えると「まさにそういう方に来てほしいんです!」とおっしゃって頂きました。
もともとAWSに興味はあったのですが、業界的にも男性がバリバリ働いているイメージがありました。そのイメージとのギャップも感じていましたし、人事担当者の想いと実態が異なることは往々にしてあるため、始めは正直半信半疑でした。“女性の活躍推進”を掲げている会社は沢山ありますが、自分の環境とあわなかったり、実態が伴っていなかったら意味がないですし、自分の経験からもそう強く思っていました。
それでもAWS入社することを決意したのは、人事や面接でお話した現場社員の方の想いに因るところが大きく、「子供がいて自分のスキルを活かしきれていない女性に、存分に力を発揮してほしい。」とおっしゃっていたことを鮮明に覚えています。
また会社のこと、社内のことをありのまま話してくださったんです。実はその方も、月の半分をご実家のある九州地方から仕事をしていると聞いて驚きました。考え抜いた結果、ここならこれまでの経験が全て生かせる、そして何より自分の働きやすい環境を見つけられるかもしれないという希望を持てたことが、入社への決断を後押しした大きな理由です。
子育てと仕事の両立に勇気と自信をくれる職場
AWSではフレックス制度を導入していますがコアタイムはなく、リモートワークも積極的に取り入れているので、与えられたゴールや目標達成のため最大限力を発揮できる時間と場所があるなら、いつどこで働いても良いとされています。
とはいえ個人的には、関係部署との対面コミュニケーションも大切にしたいので、何もない時にはオフィスへ出社するようにしています。選択が自由な中で出社することを選んでいるということです。もちろん子どもの体調や用事などによっては在宅ワークを選択しています。子どもが2歳・7歳とまだ幼く「今日は早く帰ってきてほしい」と言われることもあります。今までは「とはいっても」と子どもに我慢を強いることもありました。
しかし今では、子どものことを気にかけたまま出社するより、うまく在宅ワークを取り入れることで通勤時間を省いたり、朝や夜に仕事をするなど、バランスをとり、臨機応変に対応させてもらっています。AWSに転職してから子どもたちの気持ちをケアしながら働くことが出来るようになりました。
また子供には風邪や病気だけではなく、定期的に通院しなければならないこともありますが、そんな状況でも私はAWSで働くことにおいての不安はありません。どんな状況下でも、公平に働き、活躍するチャンスをくれる。この環境が私に勇気と自信を与えてくれています。
話は少し変わりますが、外資系企業でよく行われる家族イベントがAWSにもあり、今年の8月には“AWS Family day” というイベントが開催されました。父母参観日とは逆で、子供がお母さんお父さんの仕事や会社の雰囲気を知ってもらうための催しです。
当日はエンジニアの社員がプログラミングを教えたり、社長自ら子供たちにアイスクリームを振舞ったりして、社内の明るく楽しい雰囲気が伝わったのか、子どもたちもとても嬉しそうでした。それ以降、家で「お母さんの会社ってさぁ…」なんて聞いてくるようになりました。「お母さんが毎日どこかに行ってしまう」ではなく、「明るい楽しい場所で面白い仕事をしている」と思ったほうが子どもにとっても良い影響が与えられると思います。
変化を享受する柔軟な組織だからこそ、生み出せる価値
AWSの提供するサービスは、その90%以上がお客様のニーズから生まれています。そして開発した後もさらに利用者の生産性を上げるため、使いやすく、導入しやすくするために度重なる改善を行っています。年間のサービスアップデート回数はすでに1,430回を超えました。
そして、提供するサービスは自社の中でも積極的に活用するようにしています。つまり開発者であり、利用者であるということです。そのためには商品の開発スピードに合わせて、社内も変化していくことが求められます。
古い考えを持ち続けてはサービスの理解も活用もできない。その場合当然、お客様へもお勧めできないので、AWSのイノベーションスピードが変化を享受する組織を作り、それによって生み出されるサービスが顧客、そして私たち社員自信の自由で生産性の高い働き方を実現させています。
働きやすい環境の中で芽生えはじめた、未来へのチャレンジ
入社して半年ですが、今私は仕事がとても楽しく充実しています。女性であることや子どもがいることに関係なく、今の仕事が私自身に合っていると思えていて、その仕事を存分に楽しめる環境があるからです。できればずっとAWSで働き続けたいと思っています。
だからこそ、この先今より良い会社に出会えるのかという不安はあります。この感情を良い意味で活かし、女性であること、環境に恵まれていることに甘んじるのではなく、むしろ活かして求められているもの以上のパフォーマンスを出していきたい。仕事の幅もどんどん広げ、インサイドセールスのエキスパートとしてキャリアを積み、子供を育てながら働く女性のロールモデルになりたいと思います。