転職することが決まったら、そのための手続きが必要です。私たちは「社会」に生きている以上、自分が何者なのかという証明を必要とします。会社というコミュニティを異動するときにも、自分という存在がどこの誰なのかを証明するために、会社を退職するための手続き、次に入る会社の準備をきちんとこなしておかなくてはなりません。事前に、退職するときの必要書類と新たに入社するときの必要書類を確認しておきましょう。
退職の時に必要な書類は?
まずは退職の時に必要な書類をチェックしてみましょう。間違ってもそんなことはないでしょうが、退職したのにも関わらず自社の社員であることを名乗られては、企業としては困ったことになります。
基本的にその会社の社員である、と証明するものはすべて返却すると考えて良いでしょう。退職先企業に返却するものと、逆に転職するときに必要になる書類を退職先企業からいただくこともあるので、そこをきちんと明確にしておく必要があります。
退職先企業に返却するものリスト
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基本中の基本:健康保険被保険者証
健康保険は加入者が会社を辞めた時点で脱退する仕組みとなっているため、退職後は使用することができません。退職先の企業に返却しましょう。ここで次の転職先が決まっていれば転職先企業が加入の手続きをとってくれますが、決まっていない場合は自分で国民健康保険に加入するか、任意継続被保険者制度を利用することになります。 -
意外に忘れがち?:身分証明書、社員章、名刺
前述のとおり、会社の社員であることを証明するものは、すべて返却します。悪用を防ぐためであり、決して退職するあなたのことを疑っているわけではないので、そこはご安心を。意外と忘れてしまいがちなのは名刺。もう必要ないからと、ごみ箱に捨ててしまわないようにしましょう。仕事で受け取った取引先の名刺についても、会社から返却を求められる場合があるので、うっかり捨てたりせずにとっておきます。 -
現物支給も返却:通勤定期券、制服
通勤定期券の現物を会社からもらっている場合は、これも返却します。ただし、近年はICカードを使う人が大半でしょうから、ここはあまり気にしなくても良いかもしれませんね。制服はクリーニングして返すのがマナー。立つ鳥跡を濁さずとはこのことです。 -
会社のものはすべて返却
見落としがちですが、会社のものと認識されるものはすべて返却します。会社の経費で購入した文房具や、会社で作成した資料などもすべて対象になるので要注意。特に、パソコンで作成した資料などは、自宅のパソコンで作成したものも会社の関連のものであれば守秘義務があるので、USBなどに保存して返却するようにしましょう。
退職先企業から受け取るものリスト
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必須①雇用保険被保険者証
雇用保険の加入者であることを証明する書類であり、雇用保険の受給手続きに必要となります。転職先が決まったら、新しい会社に提出するので、大切に保管しておきましょう。 -
必須②源泉徴収票
所得税の年末調整をするときに必要になります。転職先が決まったら、転職先の源泉徴収と一緒に提出し、まとめて年末調整します。退職した年内に再就職しなかった場合は、翌年の3月15日までに税務署に行って確定申告する必要があるので覚えておくこと。確定申告するときになって気が付いて、再発行を依頼するとなると手間がかかります。源泉徴収票は原則として退職日当日にはもらえず、後日郵送などで送られてくることが多いので、しっかりととっておきましょう。 -
必須③年金手帳
公的年金の加入を証明する手帳です。退職先の企業に預けている場合は受け取りましょう。次の転職先が決まっていない場合は、市区町村の役所に行って国民年金の手続きをおこなうことを忘れないように。 -
転職先が決まっていない人は必須:離職票
会社を退職したことを証明する書類。ハローワークに提出すれば失業手当を受け取ることができます。被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内、例えば4月30日に離職した場合は5月10日までに会社から交付されます。期間を過ぎても交付されない場合は、退職先企業に問い合わせましょう。それでももらえない場合は、ハローワークに申し出れば会社に催促してくれます。
入社手続きに必要な書類は?
新しい転職先に提出する書類も一覧にまとめました。
退職日当日にもらえず後日送付されるものや、退職から日が経ってしまって書類を紛失してしまうということもあるかもしれません。たいていの書類は再発行できますが、なるべくそうした手間は省きたいものですね。
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雇用保険被保険者証
雇用保険に入るために必要な書類。紛失してしまった場合は、ハローワークで再発行することができるので相談してみましょう。 -
源泉徴収票
年末調整に必要な書類。もし手元になければ早いうちに退職先の企業に催促しましょう。
こちらを紛失した場合は退職先の企業に依頼することになるので、あまり後になると厄介です。 -
年金手帳
勤務先が変わっても同じ年金手帳を使い続けるので、退職したあとは大切に保管し、転職先企業に提出しましょう。 -
扶養控除等(異動)申告書
扶養控除や配偶者控除、障害者控除などの控除を受けるための書類。転職先の企業から指定されるか、申告書類を渡されることがほとんどです。 -
健康保険被扶養者(異動)届
被扶養者がいる場合に提出が必要な書類。扶養控除等(異動)申告書同様、こちらも入社企業から指定されるか、申告書類を渡されます。 -
給与振込先届書
振込先の口座を申告する書類。転職先の企業から専用の用紙を渡されるので、記入して提出しましょう。 -
企業によって提出する可能性のあるもの
必須ではありませんが、企業によっては提出を求められるものもあります。一般的なものだと健康診断書、入社誓約書、免許や資格の証明書です。企業の中には身元保証書の提出を求めるところもあり、その場合は保証人となる人に依頼が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
基本的には退職するときに正しく書類を受け取っていれば、転職するときにそのままリレーさせれば問題はありません。
転職先に提出を求められる書類も、大半は企業がフォーマットを用意してくれるので、間違いなく提出すればスムーズに転職を進めることができるでしょう。
退職するときは最後の最後まで気を抜かずに、転職するときも慌てずに、リストを確認して転職手続きを進めましょう。
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