男性でも女性でも自分の給料に満足している人はそれほどいないようです。そのため、比較対象に他の人がどのくらいの給料をもらっているのかどうしても気になってしまう傾向にあります。女性の平均年収はどのくらいなのでしょうか。そして、給料の高い女性の仕事はどんなものがあるのでしょうか。みていきましょう。
女性の平均年収は?
女性の平均年収はどのようになっているのでしょうか。国税庁が平成29年9月に発表している「平成28年分民間給与実態統計調査」の結果をみてみましょう。
- 女性の平均年収は280万円
「平成28年分民間給与実態統計調査」の結果によると、女性の平均年収は、280万円です。ちなみに、男性の平均年収は、521万円で、全体の平均は422万円となっています。
かなり男女の差がある結果が出ています。しかし1点だけ留意することがあります。この統計結果は、正社員という正規労働者も、いわゆるパートアルバイトなどの非正規労働者もすべて含まれている結果になっているという点です。
女性の場合、約2万人のうち、約1万人が正規労働者で、約8,000人が非正規労働者となっており、ほぼ同じくらいの割合です。男性の場合は、全体約28,000人のうち、正規労働者は約21,000人、非正規労働者は約3,500人と、正規労働者の割合がかなり高いのです。
- 正規と非正規での平均年収の差は?
女性の正規労働者の場合は、平均年収が373万円、非正規労働者の場合は148万円と出ています。なお、男性の場合は、正規労働者540万円、非正規労働者228万円です。
これらの結果をみてみますと、女性の平均年収は正規労働者と非正規労働者でかなりの差が出ています。そして、男性に比べてもかなり低いということが分かります。男女同じように働くことのできる正規労働者だけをみても、約150万円も差が出ています。
非正規労働者にいたってみても、雲泥の差です。
- 年収の違いはどうして起こる?
どうしてこのような差になっていると思いますか。これは、大分解消してきているとはいえ、いまだに女性はM字カーブの労働になっているのが原因とされます。
M字カーブというのは、労働力率というその人口に対して働いている人の割合を示すグラフを描いたとき、女性の場合は、結婚や出産を機に退職し、仕事をしないでいる状態が続き、子どもが大きくなったらまた働きに出るというパターンから、ちょうどMの字に近い形になっていることから、名付けられています。
いわゆる働き盛りといわれている年齢には働いていないというものです。新卒時には女性も男性と同じように正社員として就職したとしても、出産などを機に辞めてしまう女性が多いため、キャリアアップを図ることができません。管理職に就く年齢には退職してしまっているため、土俵に上がることもできません。
たとえその年齢に仕事をしていたとしても、家庭でのバランスなどからパートアルバイトという非正規雇用を選ばざるを得ず、正社員でも時短勤務などを利用しているため、そもそも管理職になる資格を得ることもできません。結果的に管理職に就く女性も少なく、全体的な年収額に反映されてしまうのです。
- 女性の年収が低くなるさまざまな事情
女性は家庭運営との両立から非正規労働者を選ばざるを得ず、平均年収に差が生まれているというだけではありません。女性の年収が低くなってしまう要因は他にもあります。
子育てが一段落して再び働き出したときには、正社員など正規労働者として採用してもらえる企業はかなり稀です。そのため、たとえフルタイムで働いて正社員とほとんど同じ勤務内容だったとしても、契約社員やフルタイムパート労働など非正規労働者で、給料が低くされてしまう場合が多いのです。
また、家事や子育てと両立していかなければならないことから、週に3日、1日4時間程度などの比較的短時間の勤務を希望して、非正規労働者として働く人が多いのです。こうしたことから、非正規労働者の数が多いため、平均年収は全体的にみるとかなり低くなってしまっています。
他方、「103万円の壁」という、女性側があえて夫の扶養に入り続けるために、年収を低く抑えるように働くという選択をする人も多いのです。そのため、もっと働けるにもかかわらず、毎年年末付近に勤務を調整してしまいます。非正規労働者の平均年収においても、男女間でかなり差が出るという結果になっていると考えられるのです。
こうしたさまざまな事情により、女性の平均年収は、男性に比べてはるかに引く結果になってしまっています。
ただし、法改正により103万円の壁は少しずつ変わりつつあります。かなり複雑になってきており、夫の企業によって取扱いが異なってきています。そのため、働けるのにわざと働かないで年収を低くする風潮は少しずつ減ってくることが予想されています。
- 事情は少しずつでも変わりつつある
もっとも、近年人手不足で正規労働へ転換して、人材流出を防ごうとする企業が増えてきています。このため、キャリアアップで不利に扱われた女性が、正社員として雇用転換され給料がアップする結果にもなってきています。
また、近年の不景気により、夫の給料額の伸びが思わしくなく、結婚を機に退職しない女性も増えてきています。M字カーブが少しずつ崩れてきていると結果も出ています。
女性に対する待遇も少しずつ変わってきていますので、今後女性の平均年収は上がってくることが期待されます。
参考:「平成28年分民間給与実態統計調査」
給料の高い女性に人気の仕事ランキングTOP10
女性の平均年収は分かりましたが、職業別ではどのようになっているのでしょうか。気になる給料の高い仕事ランキングをみてみましょう。
第10位 ITコンサルタント 517万円
第9位 法務 530万円
第8位 営業(医薬品メーカー) 530万円
第7位 知財・特許 538万円
第6位 プロジェクトマネージャー(IT) 562万円
第5位 会計専門職・会計士 571万円
第4位 CRO SMO CSO(治験業務関連の営業) 579万円
第3位 戦略・経営コンサルタント 588万円
第2位 ファンドマネージャーなど運用部門 600万円
第1位 投資銀行業務 672万円
これらの仕事をみると、だいたい専門性に富んだ仕事が多くなっているのが給料が高いのが分かります。また、激務だといわれている仕事も多くみられます。
責任が重い、専門性が強い、激務など、その人の技量が重視されている仕事について、給料が高いということができましょう。
そのため、キャリアを積んでいくときには、ジェネラリストではなく、スペシャリストを目指していく方が、より高い給料の仕事に就ける可能性が高まると推測できます。
特に女性の場合は、離職せざるを得ないときに直面する場合も多く、昔から看護士や薬剤師、弁護士などどこにいても働くことができる、一生働くことができる仕事が有利とされてきました。会社に勤めるときにも、どの会社にもある、身につけた技能を生かすことができるようなスキルを身につける職種を選ぶというのもおすすめです。
まとめ
女性の平均年収は、男性と比べてかなり低い280万円で、正規労働者の平均でも373万円となっており、全体の平均である422万円よりも低いという結果になっています。
新卒時には男女同じように入社して同じな立場でも、管理職になかなかなれないなど不利な立場になっているのかもしれません。
また、女性自身が専業主婦や非正規労働者を選ぶ場合もあり、女性のライフスタイルが男性のに比べて多様性があるのも、差が出る原因にもなっています。
今後は人手不足などにより、女性の労働力も重視されていく方向になっていきます。キャリアアップをしたい女性はキャリアアップを、そうでなくライフスタイルを重視したい女性は自由がきく働き方など、様々な選択肢がある状況に変わっていく時代を期待したいですね。
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