仕事と介護の両立でもう悩まない!介護休暇の取得条件と申請方法

 

「介護休暇」とは

厚生労働省の調査によると、2015年4月現在、要介護(要支援)の認定者数は608万人で、この15年間で約2.79倍になりました。
要介護(要支援)の認定者増加に伴い、介護のための離職者数は、直近1年間で約9万5千人となっており、全体数の中で男性の割合は約2割を占めます。
介護離職ゼロを進めるための政策が進む中、介護休暇の定めがある事業所は67.1%。このうち実際に「介護休暇」取得は2.3%と、取得率は割合的に少ない結果です。

厚生労働省は2017年10月に育児・介護休業法を改正し、「仕事と介護を両立しやすい職場環境」への取組を強化し、「介護休暇」や「介護休業」の取得者にとってより良い内容に改正されました。

介護のために仕事をお休みする「介護休暇」と「介護休業」はどちらも育児・介護休業法によって定められ、「労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障がいにより、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するためにする休業」のことを指します。

※要介護状態とは

介護保険制度において、身体上あるいは精神上障がいにより、入浴や排せつ、食事などの日常生活に支障があると見込まれる状態のこと。要介護認定の要介護1から5のいずれかに該当する状態のことです。

「介護休暇」と「介護休業」の違いは、取得可能な休暇日数、休暇中の給付金の有無、申請方法の違いの3つです。

介護休暇は、「単発のお休み」で「給料の給付なし(企業によっては給付あり)」「申請は口頭」
介護休業は、「長期のお休み」で「給料の給付なし(企業によっては給付あり)ですが介護給付金制度あり」「申請は書面」
です。

 

取得条件と取得日数は?

 

「介護休暇」と「介護休業」 取得対象者

どちらも取得対象の条件は同じです。

  • 労働者(日々雇用を除く)
  • 入社1年以上
  • 申出の日から93日後から6カ月後までの間に雇用期間が終了しない
  • 1週間の所定労働日数が2日以上

※正規雇用労働者以外の場合、申出時点において下記条件を満たす必要があります。

  • 入社1年以上
  • 申出の日から93日後から6カ月後までの間に雇用期間が終了せず、その後も更新予定がある

 

「介護休暇」と「介護休業」 対象となる家族の範囲

  • 配偶者(内縁の妻など、いわゆる「事実婚」を含む)
  • 両親および配偶者の両親
  • 子供
  • 同居かつ扶養している祖父母、配偶者の祖父母
  • 同居かつ扶養している兄弟姉妹
  • 同居かつ扶養している孫

※祖父母や兄弟姉妹、孫については、取得対象者と同居、かつ取得対象者の扶養家族となっている場合のみになります。

 

「介護休暇」と「介護休業」 取得日数

「介護休暇」の場合

  • 1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで
  • 1日または半日(所定労働時間の2分の1)単位で取得可能

※下記に当てはまる労働者は、半日単位での取得は不可です。

  • 1日の所定労働時間が4時間以下の労働者
  • 半日単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者

半日単位で取得できる介護休暇は、1年で5日取得(半日単位で取得する場合は10日)できます。病院の付き添いや介護サービスの手続きなど日常的介護を行う家族にとって使いやすいように設定され、介護休暇の半日取得の制度化は事業主の義務となりました。

「介護休業」の場合

  • 対象家族1人につき、通算93日まで(分割取得可能)
  • 対象家族1人につき3回まで取得可能
  • 1週間の所定労働日数が2日以上

 

お給料はどうなる?

「介護休暇」と「介護休業」を取得している間のお給料については、法律で定められている規定はなく、基本的に企業はお給料の支給義務はありません。企業によってはお給料が支給される場合もあるので、勤務先への確認が必要です。

介護休業期間、家庭の収入がなくなるのは介護をしていく面でも大きな不安要素です。介護休業でお給料が出ない場合は、介護のためにお休みしている間にお金がもらえる制度「介護休業給付金」があり、取得条件を満たしていれば誰でも取得することが可能です。

 

介護休業給付金とは

介護休業給付金とは、雇用保険の被保険者で一定の条件を満たす方が、職場復帰を前提として家族を介護するために介護休業を取得した場合に支給される給付金です。
ただし、介護休業開始日の前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上ある場合などに支給されます。

 

介護休業給付金 取得条件

  • 雇用保険加入者
  • 介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12カ月以上
  • ※下記条件に当てはまる場合は、取得可能対象外です。
  • 65歳以降の介護休業開始
  • 介護休業開始時点で、介護休業後の離職が決定している

 

介護休業給付金 支給額

【 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%】

  • 休業開始時賃金日額とは
    原則介護休業開始前6カ月の総額賃金を180で除した額のこと
  • 支給日数とは
    介護休業期間を介護休業開始の日から30日ごとに区切った日数のこと

介護休業期間中、賃金が支払われていると給付金に変動があります。

  • 12%以下の賃金が支給された場合:介護休業給付金 全額支給
  • 13%以上〜80%以下の賃金が支給された場合:介護休業給付金 支給額×80% ー支払われた賃金
  • 80%以上の賃金が支給された場合:介護休業給付金 支給なし

 

介護休業給付金 支給額上限と下限

介護休業給付金の上限は、賃金月額【賃金日額 ×30】が492,300円です。

支給額はこの上限の67%になるので、月額329,841円が支給額の上限です。

介護休業給付金の下限は、賃金月額【賃金日額 ×30】が74,100円です。

支給額はこの下限の67%になるので、月額49,647円が支給額の下限です。

 

介護休業給付金 申請方法

申請は、勤務先の事業所を管轄するハローワークに申請します。

(全国ハローワークの所在案内はこちら

 
申請に必要書類

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 賃金台帳
  • 出勤簿またはタイムカード
  • 介護休業給付金支給申請書
  • 被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
  • 住民票記載事項証明書など(介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日などが確認できる書類)

 

申請方法は?

「介護休暇」の場合

勤務先に当日に口頭で伝えれば取得可能です。書面の提出がある場合もあるので、勤務先への確認が必要です。

「介護休業」の場合

勤務先に下記書類の提出をしましょう。指定の書面がある場合もあるので、勤務先への確認が必要です。

  • 介護休業申出の年月日
  • 介護休業申出をする労働者の氏名
  • 介護休業申出にかかわる対象家族の氏名および前号の労働者との続柄
  • 介護休業申出に関わる対象家族が要介護状態にある事実(対象家族が2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態である旨を記載する)
  • 介護休業開始予定日および介護休業終了予定日
      
     

まとめ

働き盛り世代が介護のために離職する。年々、介護離職が進むことを受け厚生労働省は「介護離職ゼロ」を掲げ、制度の見直しが開始されました。制度は整い始めましたが、実際に取得し利用するには勤務先への制度の確認が必要です。
働き盛りの40〜50代の介護休暇は、企業側にすると業務が滞ることがあるため取得を申し出ても受け入れてくれない場合もあります。また、取得したことによりケアーハラスメントを受けてしまう場合もあります。その際は、勤務先の人事労務などの相談担当者、または都道府県労働局に相談しましょう。介護休暇の取得は法律によって定められている権利であるため積極的に使用し、介護と仕事の両立を目指しましょう。

 
 

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