時短勤務とは?知って得する豆知識!今日からあなたも時短勤務で働こう

子育てや療養でとっていた長期休みも終盤。
そろそろ職場に復帰する準備を始める必要がありますね。

早く復帰したい気持ちがある一方で、不安がある方もいるのではないでしょうか。

「長い休みで体がついていけるか心配…」
「勤務中に子どもに何かあったらどうしよう」
「幼稚園や保育園の送迎は?」
「要介護の家族を家においておくのは心配…」

不安になるのは、その分職場に迷惑をかけることになるかもしれないから。

その心がけはとっても立派です。
そんな職場の人思いのあなたに、時短勤務という働き方をご提案しましょう。
 

■時短勤務の仕組みは?

一口に時短勤務と言っても、様々な時短勤務の形態があります。

時短勤務の基本
ご存知の通り、一般的な所定労働時間は7.5〜8時間。

これを6時間に短縮することを「時短勤務」といいます。正確には「短時間勤務制度」と呼ばれるもの。

その形態はさまざまで、企業によっては特殊な制度を設けているところもあります。
主な形態は以下の3つ。

1.所定労働時間を短くする
基本的には6時間に短縮するところが多いですが、企業によっては通常の所定労働時間を7時間45分としているために5時間45分に短縮するというところもあることを考慮して、「5時間45分〜6時間」と規定されています。

ただ、この時間に関しては企業に依るところが大きいので、実際に企業に確認してみるのが一番です。

2.遅く出勤する・早く退勤する
上記の通り所定労働時間を少なくするために、1時間遅めに出勤したり、早めに退勤したりする措置を受けることができます。

お子さんの幼稚園や保育園の送迎に時間を合わせたいという方や、長期休み上がりでまだフルタイム勤務は厳しい、という方にもぴったりの措置ですね。

後述しますが近年は育児・介護休業法もかなり改善され、世間的にも時短勤務は工夫され、時間の融通を利かせてくれる企業は増えてきました。気兼ねなく企業に相談してみましょう。

3.フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、正しくは自分で出勤・退勤時間を決められる制度のこと。

比較的新しい言葉のように感じられますが、最初に労働基準法にフレックスタイム制が取り入れられたのは1998年。実に20年前のことなのです。

従来は企業に決められた時間に働くことで私生活とのバランスが取れるという考え方が一般的でしたが、人によって仕事の効率も異なり、繁忙期など仕事の量も変わってきます。

そうした場合、自分の仕事のペースに合わせて早めに切り上げたり、前日遅くまで残った分翌日は遅めに出勤したり、と時間を自由に決めて仕事する制度がフレックス制です。

人によっては企業に時間を指定されるよりは自分で時間を決めたほうがやる気が出る、という人もいるので、ワークライフバランスを大事にする人はもちろん、仕事を効率的にこなしたいという人向けの制度でもあります。

日本では最近になってようやく浸透してきたような気がしますね。
 

■時短勤務が取得できる対象者は?

聞けば聞くほど、便利な時短勤務。

もちろん、全員に適用されるわけではありません。きちんと、育児・介護休業法で定められています。自分が対象になっているか、気になりますよね。

ここで簡単に時短勤務を取得できる条件について見てみましょう。

1.満3歳未満の子どもがいるor要介護の家族がいる
この条件で時短勤務を選択している家庭は多いでしょう。

育児休暇が基本的にはお子さんの1歳の誕生日の前日まで、とされています。保育園への入園が決まらなければ延長も可能ですが、それでも1〜3歳の間はお子さんのそばにいる時間を増やしたいものですよね。

また、要介護の家族がいる方も対象になります。

要介護にはレベルがありますが、家族の介護が必要なレベルが従来は2〜3だったところを要介護1まで引き下げられました。これは認知症などを発症していて、見守る必要のある状態のことを指します。

しっかり面倒を見る必要もあると同時に、生活費も稼ぐ必要がありますから、要介護のご家族を抱えている方にとって時短勤務はありがたい制度のひとつですね。

2.正社員でも派遣・パート社員でもOK
時短勤務の取得は、正社員、派遣・パート社員関係なく可能です。

特に近年は正社員と非正社員との仕事量・給料との間にほとんど差がなくなり、待遇や責任が少し異なる程度になってきていますよね。

ただし、扶養家族の範囲内で働くパート社員の方などは、以下の条件に該当しているかが重要になってきます。

3.週3日以上、継続1年以上勤務していること
もともとは労働基準法に定められた一日の労働時間7時間を短縮する、という制度ですから、そもそもそれ以下の労働時間で働いている方は対象になりません。

同じ企業に継続1年以上勤務している、という信頼感も大切になってきますので、お子さんが生まれる家庭はそこにも注意しておきたいところです。
 

■取得できない人は?

単純に、上記の条件に当てはまらない人は時短勤務の取得対象外ということになります。
具体的にどんな人が当てはまるのでしょうか。

1.日雇い労働者
当然といえば当然です。

日雇い労働者は継続契約していませんので、極端な話明日仕事に来ない、ということも可能な立場にあります。

時短勤務をしてその分のお給料をもらう、ということはできないでしょう。

2.1週間の勤務が2日以内、継続勤務1年未満の人
上記でも述べたとおり、労働基準法で定められた時間に満たない勤務時間であれば、時短勤務にする意味がありません。

また、継続勤務1年未満の人も対象外。1年未満ともなると、まだまだ仕事を覚えている最中。時短勤務を選んだりすれば、やる気の有無を疑われてしまうのも無理はありません。

3.事業の運営を妨げる人
こちらは法律云々の前に、いち社会人としての信頼の問題です。

法律で決まっているとはいえ、社員が効率的に働いて企業の成果を伸ばすために、時短制度は設けられています。

人として大事なことを守れる人でないと、企業も時短勤務を許可したいとは思わないでしょう。
 

■いつまでとるもの?

実際に時短勤務を選択するとなったら、いつまでとることができるのでしょうか。

1.申請することが大前提!
当然といえば当然ですが、時短勤務は自分で申請することで始まります。
企業は申請を断ることができない一方で、申請をうながすこともしません。
まずは一度職場で信頼できる人に相談してみましょう。

2.適用期間
時短勤務はいつまで可能なのでしょうか。

育児のための時短勤務の場合、法律では3歳までと定められていますが、企業によって異なるのが現状です。中には小学校3年まで、と長くとれる企業もあリます。

3.何よりも自分のために
時短勤務は法律で認められてはいますが、現実的に厳しい一面も持っています。

時短勤務が浸透していない職場などでは、出退勤の時間が異なることで職場の人間関係に亀裂が生じたり、責任のある仕事を任せてもらえなかったり、実際には仕事が終わらなかったりと苦しい思いをすることもあります。

本来ならお子さんが3歳になるまで時短勤務にしたい、と思っていても、そうした周囲との関係で働く人自身がストレスを感じて時短勤務をやめるということもあります。

お子さんや介護する家族のこともありますが、何よりも自分自身が気持ちよく働ける職場環境にしていくことを優先させましょう。
 

■お給料は?

社会人は働いた時間がそのまま給料に反映されるのが通常です。
時短勤務になることで給料がどうなるのか、気になるところですよね。
時短勤務を選択する前に、しっかりと確認しておきましょう。

1.賃金の保証はない
家庭とバランスがとれたり、仕事の効率もあがるなどメリットの多い時短勤務ですが、一番のデメリットは賃金の保証がないことです。

会社に勤める以上、働いた時間がそのまま給料に反映されるのが常。給料は少なくなることを覚悟しておきましょう。

2.手当がつかなくなることも
仕事によっては「職務手当」や「残業手当」など基本給以外の手当を減らす企業もあります。

時短勤務を始める前は残業代に頼っていたという方は、いきなりがくんと給料が下がったように感じるかもしれませんね。

とはいえ企業側にも不当な手当不支給は認められていないので、手当がつかなくなったからといってそれを鵜呑みにする必要もありません。

3.年金受給額が減る?!特別措置を知っておこう
基本給が下がることで、それに応じた健康保険や年金などの社会保険料も下がるので、そちらは若干負担が減ったように感じるかもしれません。

ですが、ここで年金支払いが減ると将来的にもらえる年金受給額が減るのでは…と不安になりますよね。実はそれに関しては特別措置があります。

3歳未満のお子さんを抱える社員が時短勤務で給料が下がった場合、「養育期間標準報酬月額特例申出書」によって申請すれば、減額前の給料に応じた社会保険料を支払ったとみなされ、将来の年金受給額が減る心配はありません。
 

■時短勤務に関する法律は?

時短勤務について明記されている法律に、育児・介護休業法があります。

2017年10月の法改正によって、時短勤務しやすい職場環境をつくることも義務付けられるようになりました。対象ごとに細かく見てみましょう。

1.3歳未満のお子さんがいる家庭について
企業はまず、3歳未満のお子さんがいる社員のために時短勤務制度を設けること自体を義務付けられています。原則として、1日の労働時間を6時間にすること、そのための制度を設けること。

また、そのような制度があること、申請があれば受け入れることも、法律にきちんと明記されています。2017年10月の法改正で、お子さんの行事などへの参加のための休暇の取得も、企業側で認めるようにと定められました。

2.3歳〜就学前のお子さんがいる家庭について
お子さんの年齢が3歳以上になると、少しニュアンスが異なってきます。

3歳以上のお子さんのいる社員に対しては、時短勤務の設定は義務ではなく「努力義務」になるため、企業によっては3歳以上のお子さんのいる家庭に対しては時短勤務を適用しないところもあります。

また、残業についても3歳未満のお子さんがいる社員は原則として残業禁止となりますが、3歳以上のお子さんのいる社員は残業時間に制限があるのみで禁止はされていません。

3.要介護家族がいる家庭について
3歳未満のお子さんがいる社員に対する内容とほぼ同じですが、介護の場合はもう少し期限が広がります。

時短勤務制度の適用は3年以上、介護が終わるまでは残業も免除となります。企業によっては介護サービスにかかる費用の助成もおこなうことができるよう、法律には明記されていますね。

■まとめ

時短勤務には、育児や介護と両立できたり仕事を効率化させたりといったメリットがある一方で、賃金の保証ができないことや、社会の目が未だ厳しいというデメリットもあります。

きちんとデメリットを理解した上で利用するのがベスト。
法律で定められている制度ですので、いち早く世間に受け入れられる制度になっていってほしいですね。